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2017年度刊行

2016年度刊行

早稲田大学演劇映像学連携研究拠点 演劇研究基盤整備・舞台芸術文献の翻訳と公開
翻訳プロジェクト「ヨーロッパの舞台表象の変容(・転位としての<1938年問題> (2013) /ドイツ」
著者 タイトル(ダウンロードページ) 発表年 翻訳者
谷川道子 ドイツ語チーム文献解題:「舞台芸術文献の翻訳と公開:ヨーロッパの舞台表象の 変容・転位としての〈1938 年問題〉」 2013 (解題)
エルンスト・トラー 「劇作家の作品について」 1934 本田雅也
フリードリヒ・ヴォルフ 「ファシズムのドラマトゥルギー、反ファシズムのドラマトゥルギー」 1934 本田雅也
フリードリヒ・ヴォルフ 「ドイツ・ファシズムの劇文学」 1936 本田雅也
エルヴィーン・ピスカートア 「過去の教訓と未来の課題について」 1934 萩原健
ベルンハルト・ライヒ 「ドイツのアンチファシズムの劇作の方法論について」 1937 萩原健
萩原健 ドイツ語文献解題A:ソ連にいたドイツからの亡命者 たち―トラー、ヴォルフ、ピスカートア、ライヒ 2013 (解題)
オスカー・シュレンマー 「ピスカートアとモダン・シアター」 1928 柴田隆子
オスカー・シュレンマー 「素材からの造形」 1930 柴田隆子
オスカー・シュレンマー 「今日の芸術状況について」 1932 柴田隆子
クルト・ヨース 「タンツテアターの言語」 1935 柴田隆子
柴田隆子 ドイツ語文献解題B: 空間論・身体論・舞踊論の位相からみた「演劇」表象の転位―シュレンマー、ヨース 2013 (解題)
ルドルフ・フォン・ラバン 「祝祭における祭儀教育」 1920 古後奈緒子
ルドルフ・フォン・ラバン 「舞踊のコンポジションと記譜舞踊」 1928 古後奈緒子
ルドルフ・フォン・ラバン 「芸術作品としてのコロス」 1928 古後奈緒子
ルドルフ・フォン・ラバン 「ドイツのタンツビューネ ―前史と展望―」 1936 古後奈緒子
マリー・ヴィグマン 「現代の舞踊創作」 1926 古後奈緒子
マリー・ヴィグマン 「新しい芸術舞踊の本質」 1936 古後奈緒子
第二回ドイツ舞踊家会議 「舞踊形態=舞踊言語=舞踊記譜 アンケート」(抜粋) 1928 古後奈緒子
古後奈緒子 ドイツ語文献解題C:抵抗と順応のドイツ・モダンダンス小史―ラバンとヴィグマン 2013 (解題)
谷川道子 無名のヘラクレスたちと反ファシズム闘争の光と影―ペーター・ヴァイスの遺作小説『抵抗の美学』のために 2013
クルト・ケルステン 「マクシム・ゴーリキー:勝利の予言者」 1936 柴田隆子
ベルンハルト・ツィーグラー 「マクシム・ゴーリキーの遺産」 1937 柴田隆子
本文へのアクセスは、タイトルから「演劇映像学連携研究拠点」のサイト内の該当ページ下にある「Download」のロゴをクリックしてください。
「翻訳プルジェクトについて」フォルダ内に、拠点プログラムを終えての、鴻英良「ご挨拶 ―翻訳プロジェクトの新たな展開に向けて―」も合わせてお読みください。
他に、ロシア(内、「マクシム・ゴーリキー:勝利の予言者」「マクシム・ゴーリキーの遺産」はドイツ語からの翻訳)、イタリアフランスの演劇論翻訳あり。

公開サイト:早稲田大学 演劇映像学連携研究拠点テーマ研究「演劇研究基盤整備:舞台芸術文献の翻訳と公開」
早稲田大学演劇映像学連携研究拠点 演劇研究基盤整備・舞台芸術文献の翻訳と公開
翻訳プロジェクト「世紀末転換期演劇論(2010-2011)/ドイツ」
著者 タイトル(ダウンロードページ) 発表年 翻訳者
谷川道子 「ドイツ19世紀末転換期の演劇事情とテクスト解題」 2011 (解題)
マックス・ラインハルト 「『真夏の夜の夢』1905年上演の演出の手引きから」 1905 坂巻隆裕
ゲーアハルト・ハウプトマン 「オットー・ブラームの葬儀に際しての弔辞(1912年12月1日) 1912 本田雅也
ゲーアアルト・ハウプトマン 「ノーベル賞の意義(1912年12月10日、ストックホルムのノーベル賞晩餐会で行われた講演) 1912 本田雅也
マックス・ラインハルト 「ラインハルト、自らの芸術について語る(1916年のインタビュー) 1916 坂巻隆裕
フーゴー・フォン・ホフマンスタール 「ラインハルトの仕事」 1928 坂巻隆裕
オットー・ブラーム 「現代生活のための自由舞台―創刊の辞 1890 本田雅也
オットー・ブラーム 「自然主義と演劇」 1891 本田雅也
ゲオルグ・ルカーチ 『近代戯曲発展史』(抄訳) 1911 谷川道子
オットー・ブラーム
ゲーアハルト・ハウプトマン
「往復書簡」(一時公開停止中・) 1889 本田雅也
本文へのアクセスは、タイトルから「演劇映像学連携研究拠点」のサイト内の該当ページ下にある「Download」のロゴをクリックしてください。
「はじめに」フォルダ内に、竹本幹夫「ご挨拶」鴻英良「翻訳プロジェクトについて」
他に、ロシア英米フランスの演劇論翻訳あり。

公開サイト:早稲田大学 演劇映像学連携研究拠点テーマ研究「演劇研究基盤整備:舞台芸術文献の翻訳と公開」
デーア・ローア
『無実/最後の炎』
訳者:三輪玲子、新野守広
Dea Loher
Unschuld, Das letzte Feuer
論創社 2010年8月
<目次>
著者から読者へ

無実 Unschuld 三輪玲子訳

最後の炎
 Das Letzte Feuer 新野守広訳

解説 スロー・シアターのゆるやかな快進撃 三輪玲子
 
資料
ファルク・リヒター
『崩れたバランス/氷の下』
訳者:新野守広、村瀬民子
Falk Richter
Die Verstörung, Unter Eis
論創社 2009年11月
<目次>

崩れたバランス Die Verstörung  新野守広訳

氷の下 Unter Eis 村瀬民子/新野守広訳

複製技術時代における性、愛、貨幣
     ベルント・シュテーゲマン 新野守広訳

戦争とメディアの時代に演劇は何ができるか
  新野守広
エリカ・フィッシャー=リヒテ
『パフォーマンスの美学』
訳者:中島裕昭、平田栄一朗、寺尾格、
    三輪玲子、四ツ谷亮子、萩原健 
Erika Fischer-Lichte
Ästhetik des Performativen
論創社 2009年10月
<目次>
日本語版序文
第一章 パフォーマンスの美学の必要性
第二章 概念について
   1 行為遂行的という概念
   2 上演という概念
第三章 俳優と観客の身体(ライブ)の共在
   1 役割交換
   2 共同体
   3 接触
   4 「ライブ性」
第四章 素材性のパフォーマンス的産出
   1 身体性 (1)身体化 (2)現前 (3)動物身体
   2 空間性 (1)パフォーマンス空間 (2)雰囲気
   3 音響性 (1)聴覚空間 (2)声
   4 「ライブ性」 (1)タイム・ブラケット (2)リズム
第五章 意味の創発
   1 素材性、シニフィアン、シニフィエ
   2 「現前」と「再現」
   3 意味と作用
   4 上演は理解可能か
第六章 出来事としての上演
   1 オートポイエーシスと創発
   2 崩壊する二項対立構造
   3 リミナリティと変容
第七章 世界の再魔術化
   1 「演出」
   2 美的経験
   3 芸術と生活
註/解説/「パフォーマンスの美学」関連固有名リスト/索引 

シアターアーツ 2008冬 37号 晩成書房 2008年12月
■連載評論
 『パフォーマンスの美学』 エリカ・フィッシャー=リヒテ
 三章冒頭部分(翻訳:中島裕昭)

<既刊>
35~36号 ■連載評論
 『パフォーマンスの美学』 エリカ・フィッシャー=リヒテ
35号 ■インタビュー 
 リミニ・プロトコル シュテファン・ケーギ  聞き手 新野守広
33号 ■ 劇評 
 死と原罪を刻印された都市の身体
    ――サシャ・ヴァルツ&ゲスツ『ケルパー』竹重伸一

31号
  ■ 【世界の演劇から8ドイツ】血糊にまみれて=新野 守広
  ■ 【小特集】ヤン・ロワース
     【論考】 Detachement (乖離、隔たり)
       ――ヤン・ロワースの舞台における演技について
          ハンス=ティース・レーマン 翻訳=谷田尚子
29号
小特集ブレヒトVSベケット
【論考①】ベルリンのブレヒト祭=市川明
【論考②】終わらない終わり――佐藤信演出『エンドゲーム』にみるベケット劇の魅力=太田耕人
【論考②】貧困の演出――ベケットと現代演劇=川島健
小特集東京VSベルリン 
【シンポジウム】シアター・クリティック・ナウ06「都市と演劇  東京vsベルリン」
【論考】ベルリン演劇・画の描写――あるいはいかにして演劇の力を確信するか=村井華代
【インタビュー】ルネ・ポレシュ――保守化する世界に抗して聞き手=新野守広

28号 ■ 世界の演劇から7オーストラリア  ナショナルな歴史と記憶をめぐって=佐和田敬司
Deli Nr.9
沖積舎 2008年8月
◆放送劇
 インゲボルク・バッハマン
     『マンハッタンの神様』』
           
(山本浩司訳・解説)

◆劇評
北村紗衣:『ムネモーパーク』
       記憶のプレイグラウンド
  
シュテファン・ケーギ演出 リミニ・プロトコル公演
       (にしすがも創造舎特設劇場)   


詳細情報(Deliサイト内)
ドイツ現代戯曲選30
『ヘルデンプラッツ』
トーマス・ベルンハルト
訳:池田 信雄

Thomas Bernhard

論創社 2008年5月

オーストリア併合から50年を迎える年に、ヒトラーがかつて演説をした英雄広場でユダヤ人教授が自殺。それがきっかけで吹き出すオーストリア罵倒のモノローグ。半世紀前の悪夢が甦る。ベルンハルトの最後の作品。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)

訳者解題:孤独の果ての笑い
トーマス・ベルンハルト
オーストリアの作家。1931年にオランダのマーストリヒトで生まれる。1957年に詩集『地上にて地獄にて』を発表、1963年の小説『霜』で作家としての地位を不動のものにする。劇作家としては1971年の『ボリスの供宴』がデビュー作。30篇弱の中長編小説(『石灰工場』『ヴィトゲンシュタインの甥』、自伝的作品5作、『消去』等)、20編弱の戯曲(『座長ブルスコン』、『リッター・デーネ・フォス』、『ヘルデンプラッツ』等)を発表。1989年にオーストリアのクムンデンでで死去。20世紀のオーストリア文学のみならず世界文学を代表する作家として死後ますます名声が高まっている。


ドイツ現代戯曲選29
『座長ブルスコン』
トーマス・ベルンハルト
訳:池田 信雄

Thomas Bernhard: Theatermacher

論創社 2008年5月

ハントケやイェリネクと並んでオーストリアを代表する作家、劇作家であるベルンハルトの作品は、長大なモノローグをもってなる。よほどのヴィルトゥオーゾ級の役者でなければこなせない長台詞が延々と続く。『座長ブルスコン』は、そのベルンハルトの代表作であり、そもそも演劇とは、悲劇とは、はたまた喜劇とは何ぞやを問うメタドラマでもある。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)

訳者解題:消し去られた風景
トーマス・ベルンハルト
オーストリアの作家。1931年にオランダのマーストリヒトで生まれる。1957年に詩集『地上にて地獄にて』を発表、1963年の小説『霜』で作家としての地位を不動のものにする。劇作家としては1971年の『ボリスの供宴』がデビュー作。30篇弱の中長編小説(『石灰工場』『ヴィトゲンシュタインの甥』、自伝的作品5作、『消去』等)、20編弱の戯曲(『座長ブルスコン』、『リッター・デーネ・フォス』、『ヘルデンプラッツ』等)を発表。1989年にオーストリアのクムンデンでで死去。20世紀のオーストリア文学のみならず世界文学を代表する作家として死後ますます名声が高まっている。


Deli Nr.8
沖積舎 2007年11月
◆戯曲
フェリドゥン・ザイモグル/ギュンター・ゼンケル
     『ヴェールを纏った女たち』
           
(初見基訳・解説)

◆劇評
寺尾格:エルフリーデ・イェリネク『家。雲。』
  
高山明演出 ポルト・ビー公演
       (にしすがも創造舎特設劇場)   

 他


詳細情報(Deliサイト内)

ドイツ現代戯曲選28
『レストハウス、あるいは女はみんなこうしたもの』
エルフリーデ・イェリネク
訳:谷川 道子

Elfriede Jelinek:Raststätte oder Sie machens Alle

論創社 2007年6月

高速道路のパーキングエリアのレストハウスで浮気相手を探す2組の夫婦。モーツァルトの『コシ・ファン・トゥッテ』をドラスティックに改作して夫婦交換の現代版パロディにし、出口なしの男女の性的抑圧を描く。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)

訳者解題:女はみんなこうしたもの?
エルフリーデ・イェリネク
1946年、オーストリア・シュタイアーマルク州ミュルツツーシュラークに生まれる。 ウィーンで育ち、ウィーン大学で演劇学と美術史を専攻。60年代末に作家としてデビュー。ことに小説『したい気分』『雲。家』「杖、竿、棒』レストハウス』などの戯曲で目下ドイツ語圏でもっとも注目を集めている作家である。ベル賞やビュヒナー賞等々に続いて、2004年にはノーベル文学賞受賞。

ドイツ現代戯曲選27
『終合唱』
ボート・シュトラウス
訳:初見 基

Botho Strauß:Schlußchor

論創社 2007年3月

15名の男女による言葉の断片による合唱のアンサンブル。ベルリンの壁崩壊直後のカフェ、客のヌードを「うっかり」見た男⋯⋯現代と神話の交錯の中に現れる喪失の闇を描く。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)

訳者解題:<森>へ ―ボート・シュトラウス「終合唱」へのいくつかの観点
ボート・シュトラウス
1944年ナウムブルク・アン・デア・ザーレ生まれ。劇作を中心に、小説、詩、エッセイと多数。1970年代後半以降、ブームと言えるほどの高い人気を維持し、1989年にビュヒナー賞受賞。『老若男女(ロッテ)』『時間と部屋』は日本でも上演された。男女の欲望、すれ違い、消費の抑圧、不安等、現代の豊かさの抱える病理を繊細な視点から描写。
ベルトルト・ブレヒトの仕事 4
ブレヒトの戯曲
ベルトルト・ブレヒト著 
五十嵐敏夫編 岩淵達治編
長谷川四郎訳
河出書房新社 2007年2月
収録:小市民の結婚式/魚獲り/闇の光/ダンゼン/鉄はいくらか/おさえればとまるアルトゥロ・ウイの栄達/トゥランドット姫 ―― 一名 三百代言の学者会議/パン屋

Deli Nr.7
沖積舎 2007年1月
◆戯曲
ペーター・トゥリーニ
     『ワタシハ、コノクニガ、スキデス』
           
(高橋文子訳・解説)

◆書評
内野儀:挑発する言葉と「演劇にとどまる」理由
  
―『ドイツ演劇戯曲選』をめぐって   

 他


詳細情報(Deliサイト内)

ドイツ現代戯曲選25
『ゴミ、都市そして死』
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
訳:渋谷 哲也

Rainer Werner Fassbinder:
Der Müll, die Stadt und der Tod

論創社 2006年12月
金融都市フランクフルトの汚職に想を得て、ユダヤ資本家の屈折をグロテスクに強調したメルヘン風作品。「反ユダヤ主義」とのレッテルを貼られてスキャンダルとなり、作者の死後にようやく上演された。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:戦後ドイツの死神は輪唱で歌う
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
1945年生まれ。ミュンヘンでの自主演劇活動を経て、1969年長編映画第一作『愛は死より冷酷』を発表。その後精力的に創作活動を展開。生涯に残した映画は45本(うち2つは連続テレビ映画)、戯曲は未発表のものを含め、18本。名実ともにドイツを代表する芸術家となった82年に急死。

ドイツ現代戯曲選26
『ゴルトベルク変奏曲』
ジョージ・タボーリ
訳:新野 守広

Gorge Tabori: Goldberg Bariationen

論創社 2006年12月
ブダペストで生まれ、ベルリンで学びイギリスに亡命。戦後はアメリカでブレヒトを訳し、ヒッチコックの脚本を書き、60年代末からベルリン、ウィーン等で活躍。ユダヤ的ブラック・ユーモアに満ちた作品と舞台で知られる。『ゴルトベルク変奏曲』は、聖書を舞台化しようと苦闘する演出家の楽屋裏コメディ。神とつかず離れずの愚かな人間の歴史が皮肉に描かれる。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:ホロコーストの地に生きるユダヤ人
ジョージ・タボーリ
1914年ハンガリーのブタペストに生まれる。第二次世界大戦後は映画脚本家としてハリウッドに渡り、ブレヒトと親交を得る。その後ニューヨークに移り、アクターズ・スタジオに通うかたわら、演出家としてデビュー。70年代に西ドイツに移住し、以後現在に至るまで演出家兼劇作家として精力的かつ多産な活動を続けている。

『ブレヒト 没後 五十年』 著者:岩淵 達治
カモミール社 2006年11月

告別―「ブレヒト―最期の四日間」
ベルトルト・ブレヒト追悼 ― 一九五六
わたしの記憶のなかのヴァイゲル
ヴァイゲル女史を悼む

ブレヒトの二人の使徒―
 (一九六一年ベルリンの壁建設)
ベルリーナー・アンサンブルについての若干の記憶
ブレヒトを忘れたブレヒト劇―一九六七
78年のブレヒト対話で上演された「ガリレイの生涯」―一九七八
ベルリーナー・アンサンブルの栄光と再生―一九九四
ベルリーナー・アンサンブルとパイマン―二〇〇〇

『ワイキキ・ビーチ。 ―
ワイキキ・ビーチ。/スローン・スクエア。』
マーレーネ・シュトレールヴィッツ
訳:松永 美穂

Marlene Streeruwitz:Waikiki-beach./Sloane Square.

論創社 2006年10月
マーレーネ・シュトレールヴィッツ
オーストリア、ウィーン近郊のバーデン生まれ。ウィーン大学でスラブ学と美術史を学ぶ。1992年以降、戯曲家として活躍、作品がドイツ語圏のあちこちの 劇場で上演される。1996年の長編小説『誘惑。』でマラ・カッセンス賞を受賞。短編小説や文学講義、エッセイなどの分野でも活躍し、オーストリア政府の 保守性・閉鎖性を鋭く批判し続けている。2002年にはヴァルター・ハーゼンクレーヴァー賞を受賞

ドイツ現代戯曲選23
『ジェフ・クーンズ』
ライナルト・ゲッツ
訳:初見 基

Rainald Goetz:Jeff Koons

論創社 2006年10月
ドイツを代表するポストモダン的なポップ作家。快楽的表層的ポップ文化からもはや逃れられない現実と自分自身のアイロニカルな描写で知られる。『ジェフ・クーンズ』は、同名のポップ芸術家や元夫人でポルノ女優のチチョリーナと思しき人物を通じて、キッチュとは何かを追求した作品。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:空疎さのなかの<光あれ>
ライナルト・ゲッツ
1954年ミュンヒェン生まれ。精神医療を主題とした小説『狂人たち』(1983年)、赤軍派と西独国家のテロル状況に揺れた<秋のドイツ>を背景にした『管理され』(1988年)、戯曲「戦争」三部作などで注目される。1990年頃より転位を遂げ、テクノ/レイヴ・シーンに深く肩入れし、現世享受的な方向性を呈す。その刻印は執筆作品にあっても、1993年の戯曲「要塞」三部作を含む『要塞』全5巻から、1998年から2000年に出された、戯曲「ジェフ・クーンズ」も含まれる「今日の朝」連作全5巻まで、強く見て取れる。

ドイツ現代戯曲選24
『魅惑的なアルトゥール・シュニッツラー氏の劇作による魅惑的な輪舞』
ヴェルナー・シュヴァープ
訳:寺尾 格

Werner Schwab:Der reizende Reigen nach dem Reigen des reizenden Herrn Arthur Schnitzler

論創社 2006年10月

私生児として生まれたシュヴァープは、ウィーン造形大学で学びながら書きためた戯曲が1990年代の事件とも言われるほどの急激なブームとなったが、36歳で急死。グロテスクな「シュヴァープ語」の評価は死後、むしろ高まっている。『すばらしき〜』はシュニッツラーの『輪舞』の改作。特異な言語表現によって、ひきつるような笑いに満ちた性欲を描く。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)

訳者解題:シュヴァープの破壊的でグロテスクな「笑い」
ヴェルナー・シュヴァープ
1958年、オーストリア・グラーツ生まれ。ウィーン造形大学中退。廃棄物美術製作と同時に劇作、および散文活動。特異な「シュヴァープ語」による一連の「排泄劇連作」で、1990年代早々に爆発的な大成功をおさめ、1993年大晦日に急性アルコール中毒で急死。1990年『女大統領たち(邦題・かぐわしきかな天国)』、1991年『重すぎる、くだらん…無形式』『民衆根絶あるいは私の肝臓は役立たず』他。

ドイツ現代戯曲選21
『タトゥー』
デーア・ローアー
訳:三輪 玲子

Dea LoherTätowierung 

論創社 2006年9月
90年代から次々と話題作を発表し一躍脚光を浴びた女性劇作家。人間の不幸を静かに見据え、その深層を詩的リズムで語りあらわす。近親相姦を扱う『タトゥー』では、姉が父の「刻印」から解き放たれようとすると、閉じて歪んで保たれてきた家族の依存関係が崩れはじめる。そのとき姉が選んだ道とは⋯⋯。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:叶わぬ願いとしてのユートピア
デーア・ローアー
1964年バイエルン州生まれ。90年からベルリン芸術大学で劇作を学び(当時の専攻主任はハイナー・ミュラー)、デビュー作『オルガの部屋』以降、次々と話題作を発表し脚光を浴びている女性劇作家。人間の不幸を静かに見据え、その深層を詩的リズムで語りあらわす。『タトゥー』は世界的にも多数上演されている。

ドイツ現代戯曲選22
『バルコニーの情景』
ジョン・フォン・デュッフェル
訳:平田 栄一朗

John von DüffelBalkonszenen

論創社 2006年9月
ターリア劇場のドラマトゥルクとしても活躍中の作家、劇作家。ポップ的な現象を描くも、その表層に潜む人間心理の裏側をえぐり出すことで高い評価を得てきた。『バルコニーの情景』ではパーティ会場に集った平凡なの人びとの願望や愛憎や自己顕示欲がアイロニカルかつユーモラスに描かれる。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:ストイックな挑発者 
 ― ジョン・ヴォン・デュッフェル
ジョン・フォン・デュッフェル
1966年ゲッティンゲン生まれ。いわゆるゴルフ世代を代表する作家・劇作家。ハンブルク・ターリア劇場などでドラマトゥルクとして演劇制作を行いながら多数の小説、戯曲、放送劇を発表する。98年に発表したベストセラー小説『水から聞いた話』で数々の文学賞を受賞。戯曲『狂牛病』は99年ドイツ語圏の劇場でもっとも多く上演された。最近ではトーマス・マンの大作『ブッデンブローク家の人々』を彷彿させる小説『フーヴェラント』(2005年)で高い評価を受けている。

ドイツ現代戯曲選20
『長靴と靴下』
ヘルベルト・アハターンブッシュ
訳:高橋 文子

Herbert Achternbusch:
Der Stiefel und sein Socken

論創社 2006年8月
ミュンヒェン出身の小説家、劇作家。バイエルンの出自を自伝的に扱い、不条理な笑いに満ちた奇妙な世界を描く。十数本の劇作の多くを自分で演出し、出演もする。20本以上の映画を監督・製作し、散文作品も多い。『長靴と靴下』では、田舎に住む老夫婦が様々に脈絡なく語り続ける。ベケット風でありながら、まさにバイエルンの雰囲気を漂わして評価が高い。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:ユートピア、バイエルン
ヘルベルト・アハターンブッシュ
映画監督、俳優、作家、画家。1938年ミュンヒェン生まれ。映画に『アンデックス気分』(1974)、『ビール戦争』(1976)、『デップ』(1982)、『幽霊』(1982)、「I know the way to the Hofbräuhaus』(1991)など。戯曲に『エラ』(1978)、『カエル』(1982)、『我がヘルベルト』(1983)、『ノアの洪水』(1984)、『ドナウの岸辺』(1987)、『我が墓碑銘』(1996)、『アンガデックスのダフネ』(2001)などがある。

ドイツ現代戯曲選19
『公園』
ボート・シュトラウス
訳:寺尾 格

Botho StraußDer Park

論創社 2006年8月
1980年代から90年代にかけてほとんどブームとも言えるほどの高い人気を博し、劇作のみならず散文も評価が高い。男と女の欲望、すれ違い、消費と抑圧を、知的に、シュールに、時に喜劇的に描き出す。『公園』は、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』を現代ベルリンに置き換えて、「欲望」の喪失を壮大な皮肉として描いた作品。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:愛という欲望の喪失 
 ― ボート・シュトラウスの「乗り越えがたい近さ」
ボート・シュトラウス
1944年ナウムブルク・アン・デア・ザーレ生まれ。劇作を中心に、小説、詩、エッセイと多数。1970年代後半以降、ブームと言えるほどの高い人気を維持し、1989年にビュヒナー賞受賞。『老若男女(ロッテ)』『時間と部屋』は日本でも上演された。男女の欲望、すれ違い、消費の抑圧、不安等、現代の豊かさの抱える病理を繊細な視点から描写。
Deli Nr.6
沖積舎 2006年8月
戯曲:ローラント・シンメルプフェニヒ「昔の女」
  
(大塚直訳・解説))

劇評:寺尾格 『エミーリア・ガロッティ』 
        ―タールハイマー演出ドイツ座公演
 他
詳細情報(Deliサイト内)

ドイツ現代戯曲選17
『指令 ―ある革命への追憶』
ハイナー・ミュラー
訳:谷川 道子

Heiner MüllerDer Auftrag
 - Erinnerung an eine Revolution

論創社 2006年7月
旧東ドイツ生まれの劇作家、演出家。代表作『ハムレットマシーン』で世界的に注目を浴びる。『指令は、ミュラーの戯曲のなかでいまだ本格的に紹介されてこなかった傑作。フランス革命時、ロベスピエールが黒人奴隷の解放運動を密かに進めようとするが・・・。革命の問題だけでなく、扉やエレベーターなどのモチーフを利用したカフカ的な不条理やシュールな設定が出色の出来である。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:<指令>はどこから来て、どこに行くのだろうか
ハイナー・ミュラー
1929年ザクセン生まれ。ブレヒトのl後継者として東ベルリンの演劇界に登場するが、社会主義建設の矛盾を剔抉する作品が出版・上演禁止になる中で古典の改作に向かい、『ハムレット・マシーン』、『メディア・マテリアル』などを契機に西側で注目されるようになる。自らも演出を行い、1990年ドイツ座での『ハムレット』と自作を合わせ鏡にした約7時間の『ハムレット/マシーン』の舞台は反響を呼んだ。1990~95年ベルリーナー・アンサンブルの劇場監督を務め、ブレヒト作『アルトロ・ウィの興隆』の演出を最後に1995年没。

ドイツ現代戯曲選18
『前と後』
ローラント・シンメルプフェニヒ
訳:大塚 直

Roland Schimmelpfennig:
 Vorher/Nachher 

論創社 2006年7月
演出助手、ドラマトゥルクを経て劇作家になった経歴の持ち主。1996年以来ほぼ毎年、多彩な構成を駆使してジャンルを攪乱せずにおかない意欲的な演劇テクストを提供。ラジオ劇も多い。『前と後』では39名の男女を登場させ、その多様な文体とプロットに支配されない断片的な場面の展開で日常と幻想を描く。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:スクリーン上の<平面性の美学>
ローラント・シンメルプフェニヒ
1967年ゲッティンゲン生まれ。イスタンブールに滞在後、ミュンヘンで演劇活動を開始。90年代半ばから、ロマン主義の感覚や映像メディアの手法を持ち込んだ斬新な演劇テクストを次々に発表、オペラ台本やラジオ放送劇も手がける。1999年には新生ベルリン・シャウビューネに参画した。極めて多彩・多作な作家で、現代ドイツ演劇界では指導的立場にある劇作家と目されている。

シアターアーツ 2006夏号 晩成書房 2006年6月
小特集 ピナ・バウシュ
■ピナ・バウシュの『春の祭典』と『カフェ・ミュラー』
■<ピナ・バウシュのタンツテアター>の歴史的な位相
特別企画『エミーリア・ガロッティ』
 ミヒャエル・タールハイマー インタビュー
                           他

ドイツ現代戯曲選15
『自由の国のイフィゲーニエ』
フォルカー・ブラウン
訳:中島 裕昭

Volker Braun:Iphigenie in Freiheit

論創社 2006年6月

ミュラーと並び旧東独を代表する劇作家、詩人であり、壁崩壊後も精力的に執筆を続けている。『自由の国のイフィゲーニエ』は、エウリピデスやゲーテの『イフィゲーニエ』に触発されつつも、結末にこれらの先達とは異なる結論が用意され、それによって社会の現実を巧みに反映させることに成功した。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)

訳者解題:作者ブラウンと『自由の国のイフィゲーニエ』について
フォルカー・ブラウン
1939年生まれ。炭鉱労働などを経て大学進学、哲学を学ぶ。60年代から詩人として注目され、その後ベルリンの劇場のドラマトゥルクなどとして活動、70年代から東ドイツを代表する劇作家・詩人・散文作家、厳しく東ドイツを批判した。2000年にビューヒナー賞受賞。

ドイツ現代戯曲選16
『文学盲者たち』
マティアス・チョッケ
訳:高橋 文子

Matthias Zschokke:Alphabeten

論創社 2006年6月
スイスのベルン出身で、小説、戯曲、俳優業、映画制作と多彩に活躍するチョッケは、非現実的な設定から現実に喰いこむ諷刺を得意とする。『文学盲者たち』ではその矛先を文学業界に向けた。舞台は女性作家が文学賞を受ける式場。そこで作家が自己否定や意味不明なスピーチを始めたことで、物語は思わぬ方向に転がっていく。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:中途半端な人々
マティアス・チョッケ
1954年ベルン生まれ。俳優を経て作家、映画監督となる。ベルリン在住。小説に『マックス』(1982年)、『雌鶏をかかえたモーリス』(2006年)、戯曲に海賊の物語『悪党たち』(1986年)、映画『エドヴィゲ・スキミット』(1985年)。

ドイツ現代戯曲選13
『私たちがたがいをなにも知らなかった時』
ペーター・ハントケ
訳:鈴木 仁子

Peter Handke:Die Stunde, da wir nichts voneinander wußten 

論創社 2006年5月
オーストリアを代表する作家、劇作家、映画脚本家であり、『カスパー・ハウザー』や『ベルリン天使の詩』は日本でも上演・公開された。『私たちがたがいを知らなかった頃』は広場を舞台に、そこにやって来るさまざまな人間模様をト書きだけで描いたユニークな無言劇。L・ボンディの演出による初演は大当たりをとった。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:
広場の叙事詩―そしてハントケの軌跡
ペーター・ハントケ
1942年、オーストリア・ケルンテン州生まれ。オーストリアを代表する作家・劇作家・映画脚本家。大学在学中に発表した小説『雀蜂』と戯曲『観客罵倒』で衝撃的な登場をとげる。『カスパー・ハウザー』や『ベルリン・天使の詩』は日本でも上演・公開された。『幸せではないが、もういい』『左ききの女』『反復』『空爆下のユーゴスラビアで』など多数が翻訳されている。

ドイツ現代戯曲選14
『衝動―
三幕の民衆劇
フランツ・クサーファー・クレッツ
訳:三輪 玲子

Franz Xaver KroetzDer Drang

論創社 2006年5月
バイエルン方言と民衆劇の伝統を逆手にとった斬新な社会劇で70年代から一世を風靡してきたクレッツ。『衝動』は話題のセクシャル・コメディー。露出症で服役していた青年フリッツが姉夫婦のもとに身を寄せる。この「闖入者」はエイズ? サディスト? ⋯⋯と周囲が想像をたくましくするせいで、フリッツを取り巻く人間関係は大混乱に。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:不敵な笑いで社会を斬る
フランツ・クサーファー・クレッツ
1946年ミュンヘン生まれ。俳優、演出家、劇作家。俳優としての活動を始めるが、70年代には、バイエルン方言と民衆劇の伝統を逆手にとった斬新な社会劇で一世を風靡し、「ブレヒトの後、世界的に最も成功したドイツ人作家」となる。以降、時代の変遷とともに世相を鋭く抉る衝撃作を発表し続け、世界40ヵ国以上で上演されている。

ドイツ現代戯曲選10
『餌食としての都市』
ルネ・ポレッシュ
訳:新野 守広

René PolleschStadt als Beute

論創社 2006年4月
ベルリンの小劇場プラーターでカルト的な人気を博す個性的な劇作家、演出家。『餌食としての都市』では、ポレシュの他の作品と同様に、4人の人物たちがソファーに座り、矢継ぎ早に自分や仲間や社会の不満をぶちまけるが、そこにはポレッシュ特有のディスクール分析が込められている。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:
ネオリベラリズムなんか、クソくらえ!
ルネ・ポレシュ
1962年生まれ。ドイツのギーセン大学で演劇学を学ぶ。1992年フランクフルトのTAT劇場で『スプラッターブールヴァード』が上演されて以来、ドイツ語圏各地の劇場で演出活動に携わる。2001年ミュールハイム劇作家賞を受賞。ベルリン・フォルクスビューネ劇場に付属する小スペース、プラーターの芸術監督に就任。2002年「テアターホイテ」誌の最優秀劇作家に選ばれる。『world wide web slum』、『マイホーム・イン・ホテル』、『24時間は一日じゃない』をはじめ多数の作品を精力的に執筆し、自ら演出している。

ドイツ現代戯曲選11
『ニーチェ 三部作』
アイナー・シュレーフ
訳:平田 栄一朗

Einar Schleef:Nietzsche Trilogie

論創社 2006年4月

古代劇のコロスや舞踊を現代化した稀代の演出家として知られるシュレーフは、劇作家としてもその才能をいかんなく発揮した。『ニーチェ三部作』では哲学者が精神の病を得て、母と妹とともに晩年を過ごした家族の情景が描かれる。気宇壮大な思想と息詰まる私的生活とのコントラストが印象的な作品。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)

訳者解題:アイナー・シュレーフ
 ―ニーチェに憑かれた鬼才
アイナー・シュレーフ
1944年ザンガーハウゼン生まれ。妥協を知らぬ劇作家ならびに演出家として、70年代から歌劇なアヴァンギャルド演劇を孤高に追求しつづけた。その試みは90年代になってようやく評価され始め、『死者たちのトランペット』、『スポーツ断片劇』(イェリネク)『サロメ』(ワイルド)などの戯曲や演出作品で数々の文学賞と演劇賞を受けた。本作『ニーチェ 三部作』を自ら演出し、ニーチェ役を演じようとした矢先の2001年にベルリンで頓死。その数奇な人生はしばしばニーチェのそれと比較される。

ドイツ現代戯曲選12
『愛するとき死ぬとき-
ペーテル・ゴダール映画“time stands still”のモティーフからの自由創作
フリッツ・カーター
訳:浅井 昌子

Fritz Kater:zeit zu lieben zeit zu sterben

論創社 2006年4月
フリッツ・カーターは筆名で、演出家のアーミン・ペトラスではないかと言われている。若者や愛の夢と挫折をテーマにすることが多いが、クイックモーションやサンプリングなどのメディア的な手法が評価されている。『愛するとき死ぬとき』も映画の影響が色濃く反映され、批評家たちから好評を博した代表作。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:劇作家のふたつの顔
フリッツ・カーター
1966年東ドイツのメクレンブルグ・フォアポンメルン生まれ。子供時代に両親と引越しした東ベルリンで高校を卒業。1987年西ドイツへ移住。バイエルン地方でアルバイトを転々とする。ベルリンの壁崩壊後の1990年ベルリンへ戻り、戯曲を書き始める。『WE ARE CAMERA/イアソン』など作品多数。

『現代ドイツのパフォーミングアーツ 舞台芸術のキーパースン20人の証言』 編者:堤 広志
三元社 2006年3月
演劇
総論:<made in Germany>の舞台 フランツ・ヴィレ
マルティン・ヴトケ
フランク・カストルフ
トーマス・オスターマイアー
アンネ・ティスマー
ヨッシ・ヴィーラー
ルネ・ポレシュ
ミヒャエル・タールハイマー
レギーネ・ツィンマーマン
マティアス・リーリエンタール
ダンス
総論:ドイツの領域破壊芸術 アルント・ヴェーゼマン
 他
詳細情報(三元社HP内)
シアターアーツ 2006春号 晩成書房 2006年3月
特別企画 座談会「年間総括」二〇〇五
■二〇〇五年に何が起こったか
■ドイツ演劇の来日の意義は?
                      他

ドイツ現代戯曲選7
『ノルウェイ・トゥデイ』
イゴール・バウアージーマ
訳:萩原健
Igor Bauersima:norway. today 論創社 2006年3月
ロシア人を父にプラハに生まれ、スイスで育った国際色豊かな劇作家、映画制作者。『ノルウェイ.トゥデイ』は、若者のインターネット心中というテーマが世間の耳目を集め、2001年にドイツの劇場でもっとも多く上演された作品となった。若者の感性を的確にとらえた視点が秀逸。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:nor/way/to/day
イゴール・バウアージーマ
1964年プラハ生まれ。1968年にスイスへ移住、ツューリヒで学ぶ。89年から建築家・音楽家・映像作家・劇作家・演出家として活動。93年にフリーの劇団「オフ・オフ・ビューネ」を結成し、同グループのためにこれまで9作を執筆している(うち8作は自身の演出)。『ノルウェイ.トゥデイ』のヒット以来、デュッセルドルフ、ハノーファー、ウィーンなど、ドイツ語圏の各都市で自作を演出。

ドイツ現代戯曲選8
『私たちは眠らない』
カトリン・レグラ
訳:植松なつみ
Kathrin Röggla:wir schlafen nicht 論創社 2006年3月
オーストリア出身、小説、ラジオ劇、劇、ハイパーテクストの執筆以外に、劇やパフォーマンスの演出も行う多才な若手女性作家。『私たちは眠らない』では、多忙とストレスと不眠に悩まされる現代人が、過剰な仕事に追われつつ壊れていくニューエコノミー社会を描く。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:
「不安な時代」を描くカトリン・レグラ
カトリン・レグラ
1971年生まれ。オーストリアのザルツブルク出身。92年以降はベルリン在住。95年に散文集『誰も後ろ向きには笑わない』でデビュー。小説、戯曲、ラジオドラマ、ハイパーテクスト等、多岐に渡る創作活動を行う。ザッハー・マゾッホ賞やイタロ・スヴェーヴォ賞等、数多くの賞を受賞。

ドイツ現代戯曲選9
『汝、気にすることなかれ
 -シューベルトの歌曲にちなむ死の三部作』
エルフリーデ・イェリネク
訳:谷川道子
Elfriede Jelinek:Macht nichts
   - Eine Kleine Trilogie des Todes
論創社 2006年3月
2004年にノーベル文学賞を受賞したオーストリアの代表的な作家、劇作家。2001年カンヌ映画祭グランプリ作品『ピアニスト』の原作者として知られる。『汝、気にすることなかれ』はシューベルトの歌曲を通奏低音とし、オーストリア史やブルク劇場やグリム童話などをモチーフとした多層的でポリフォニックな三部作。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:
それでも気になる「死の三部作」
エルフリーデ・イェリネク
1946年、オーストリア・シュタイアーマルク州ミュルツツーシュラークに生まれる。ウィーンで育ち、ウィーン大学で演劇学と美術史を専攻。60年代末に作家としてデビュー。ことに小説『したい気分』『雲。家』「杖、竿、棒』レストハウス』などの戯曲で目下ドイツ語圏でもっとも注目を集めている作家である。ベル賞やビュヒナー賞等々に続いて、2004年にはノーベル文学賞受賞。

ドイツ現代戯曲選4
『エレクトロニック・シティ
     ―おれたちの生き方』
ファルク・リヒター
訳:内藤洋子
Falk Richter:Electronic City 論創社 2006年2月
30歳前にまず演出が注目され、4作目『何も傷つけない』(1999)で劇作がフィーバー。以後、言葉と舞台が浮遊するような独特な焦燥感を漂わせる、ポップ演劇の代表者として注目される。『エレクトロニック・シティ』では、グローバル化した電脳社会に働く人間の自己喪失の閉塞を、映像とコロスを絡めてシュールにアップ・テンポで描く。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
作品紹介(ドイツ演劇研究会HP内)
訳者解題:
グローバル化の中で失速する人間たち
ファルク・リヒター
1969年、ハンブルク生まれ。演出家、劇作家、翻訳家。2000-04年にチューリヒ劇場の座付き演出家を務め、ベルリンのシャウビューネでも活躍中。映像や音楽、ダンスを取り込んで即興的に舞台を仕上げていくポップ演劇の手法で、政治のテーマとも取り組む。2004年に四部作『システム』を公演。著書に『システム』(2004)がある。

ドイツ現代戯曲選5
『私、フォイアーバッハ』
タンクレート・ドルスト
訳:高橋文子
Tankred Dorst:Ich, Feuerbach 論創社 2006年2月
日常のなにげない風景を描きつつも、メルヘンや神話のモチーフを混ぜ込み、日常に潜む不条理と不気味な滑稽さを描き続けてきた。『私、フォイアーバッハ』では俳優と演出アシスタントが他愛のない雑談を交わしつつ、演出家を待ち続けるが??。ベケットを髣髴させつつそれと異なる展開と結末が用意される。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:見られていない不安
タンクレート・ドルスト
1925年生まれ。マリオネット劇のための戯曲から始めて、1960年『カーブ地点』から俳優による舞台のための戯曲を書き始め、映画、テレビドラマの脚本も手がける。伴侶であるウルズラ・エーラーと共同で、80歳を迎える現在も意欲的に劇作を続け、自作の演出も行っている。

ドイツ現代戯曲選6
『女たち。戦争。悦楽の劇』
トーマス・ブラッシュ
訳:四ツ谷亮子
Thomas Brasch:Frauen. Krieg. Lustspiel 論創社 2006年2月
旧東ドイツ出身の劇作家だが、若者特有のアナーキズムを斬新に描く戯曲は西側世界でも積極的に上演された。『女たち、戦争、悦楽の劇』では第一次世界大戦で夫を失った女たちの悲惨な人生をあえて反ヒューマニズムの視点から描いた。そのシュールな手法は、G・タボーリの演出も相俟って初演時に話題を集めた。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題 戦火の<真実>とは?
トーマス・ブラッシュ
1945年、イギリス生まれ。70年代初めから本格的に劇作に携わり、76年に東ドイツから西ドイツへ移住。代表作『ロッター』『メルセデス』を経て、チェーホフ、シェイクスピアの翻訳・改作を精力的に行う。2002年に東京国際芸術祭で上演されたリチャード二世』はブラッシュの翻案による。映画脚本、監督の仕事もある。2001年没。

ドイツ現代戯曲選1
火の顔
マリウス・フォン・マイエンブルク
訳:新野守広
Marius von Mayenburg: Feuergesicht 論創社 2005年12月
世界は火から発し、永遠に、火へと戻りつづける。
さあ、ぼくの誕生の話をしよう・・・・

ドイツ演劇界で目下期待されている新進気鋭の劇作家。『火の顔』は、何不自由のない環境で育った少年が理由もなく両親を殺害し、姉と近親相姦にいたるという現代の不気味な不条理を描き、演劇界に衝撃を与えた。Th・オースターマイアーの演出とともに話題と人気を集めた。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:成熟なき時代の若き劇作家
マリウス・フォン・マイエンブルク
1972年ミュンヘン生まれ。ベルリン芸術大学で劇作を学び、在学中に執筆した『火の顔』で注目を集め、99年よりシャウビューネのドラマトゥルクをつとめる。以後、『パラサイトたち』『冷たい子ども』『エルドラド』などの戯曲を執筆するとともに、サラ・ケイン『渇望』などの戯曲翻訳や舞台演出などにもたずさわる。

ドイツ現代戯曲選2
『ブレーメンの自由―ゲーシェ・ゴットフリート夫人 ある市民悲劇
ライナー・ベルナー・ファスビンダー
訳:渋谷哲也
Rainer Werner Fassbinder: Bremer Freiheit
-Frau Geesche Gottfried Ein bürgerliches Trauerspiel
論創社 2005年12月
私は、自分が行きたいように生きるの。
ニュー・ジャーマンシネマの映画監督として知られるが、映画と併行した17本の劇作や演出活動は映像と舞台のマルチな可能性を秘める。60年代のブレヒトや民衆劇の再評価と、70年代「演出家演劇」の核ともなった劇作家。『ブレーメンの自由』は、家父長制の強い19世紀のブレーメンで15年間にわたり殺人を繰り返した女性の話。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:もっとも「反動的」な前衛作家
ライナー・ベルナー・ファスビンダー
1945年生まれ。ミュンヘンでの自主演劇活動を経て、1969年長編映画第一作『愛は死より冷酷』を発表。その後精力的に創作活動を展開。生涯に残した映画は45本(うち2つは連続テレビ映画)、戯曲は未発表のものを含め、18本。名実ともにドイツを代表する芸術家となった82年に急死。

ドイツ現代戯曲選3
『ねずみ狩り』 
ペーター・トゥリーニー
訳:寺尾格
Peter Turrini: Razzenjagd
論創社 2005年12月
もうわかっただろ。
オレらの中は全部ゴミだらけ、クソだらけなんだ。

イタリア人の家具職人の息子として、オーストリアの田舎で生まれる。新民衆劇の旗手のひとりで、下層社会の抑圧と暴力をスキャンダラスに、時にセンチメンタルにも描く「ラディカル・モラリスト」。『ねずみ狩り』では、巨大なゴミ捨て場にやってきた男女の罵り合いと乱痴気騒ぎに事寄せて、虚飾だらけの社会を痛烈に皮肉る。初演において賞賛とブーイングの嵐をあびた。(論創社「ドイツ現代戯曲選30」パンフレット)
訳者解題:ラディカル・モラリストの「現実」
ペーター・トゥリーニー
1944年、オーストリアのケルンテン州、ザンクト・マルガーレーテン生まれ。父親はイタリアから移民した家具職人。高校卒業後はさまざまな職業につき、処女作『ねずみ狩り』の成功後、劇作を中心に、詩、小説、テレビやオペラの脚本等で、現代オーストリアの抑圧と暴力、日常のファシズムを、反道徳的かつスキャンダラスに描き挑発する。

シアターアーツ 2005冬号 晩成書房 2005年12月
劇評:生身の身体が映すベルリンの現在
     ―『バック・トゥ・ザ・プレゼント』 立木燁子
論考:ヨーロッパ演劇の諸問題とその未来

ハンス=ティース・レーマン/エレーニ・ヴァロプゥールゥ
  訳:新野守広
思想状況:歴史劇場都市ベルリン 坂手洋二

 他

Deli Nr.5
特集◆出版都市TOKYO
沖積舎 2005年11月
特集 出版都市TOKYO
私たちは眠らない
(朗読バージョン) 
      カトリン・レグラ(訳・解説:植松なおみ)
戯曲親たちのセックス・ノイローゼ 
      ルーカス・ベーアフス(訳・解説:内藤洋子)

劇評:「日本におけるドイツ演劇」の未来形二つ 
       『ねずみ狩り』と『ホラティ人』  谷川道子
 「暴発する女・子どものシャウビューネ公演
 
イプセン『ノラ』、マイエンブルク『火の顔』 寺尾格
 ブラック・ユーモアとナンセンス・ギャグ
 『アルトゥロ・ウイ』と『終着駅アメリカ』の東京公演 
                       平田栄一朗
 他

『ドイツ現代演劇の構図』 著者:谷川道子
論創社 2005年11月
プロローグ 演劇とはなんだろう?
第一章 壁崩壊までのドイツ現代演劇の測量の試み
 分水嶺としての<一九六八年>
 矛盾としての演劇―白鳥の歌・道化・抵抗の美学
第二章 ドイツ演劇の現在形
 壁崩壊と<NY9・11>後のさらなる変位
 ベルリン演劇の「いま」
第三章 グローバル化時代の国際演劇祭
 ライン沿岸四都市での「ドイツ世界演劇祭2002」
 カンプナーゲルの夏の演劇祭
第四章 ドイツ演劇の過去・現在・未来形
 ブレヒトからミュラーを超えて
 可能性としての演劇、あるいは「ポストドラマ演劇」?
第五章 日本とドイツと世界演劇
 ハイナー・ミュラーとの「危険な関係」―太田省吾との対話[一九九六]
 たとえば劇作家/演劇人・岸田理生の位相
番外編 多和田葉子の営為をめぐる菅啓次郎との対話
エピローグ 演劇はライヴ・アート

『知の演劇、演劇の知』 編者:岡室 美奈子
ぺりかん社 2005年3月
Ⅰ 欧米演劇の現在
 ドイツ演劇の現在―ポストドラマ演劇とハイナー・ミュラーの位相 谷川道子
 アメリカ演劇の現在―研究のための視座 内野儀
Ⅱ 批評/理論の最前線
 未来への帰還―シェイクスピア、アダプテーション理論、マクロテンポラリティ 大橋洋一
 演劇、言葉との抗争―アルトー・ベケット・ジュネ 宇野邦一
Ⅲ 西欧と日本―歴史へのまなざし
 メイエルホリドについて―日本(演劇)との関係を中心に 桑野 隆

附 現代欧米演劇の基礎知識 
岡室美奈子

『演劇都市ベルリン』 著者:新野守広
れんが書房新社 2005年5月
はじめに
 ベルリン・シアターマップ(各劇場の簡単な紹介)
第一章 新しいベルリンと心の壁
第二章 一九八九の東ベルリン演劇
第三章 ハイナー・ミュラー
第四章 ミュラー以後のベルリナー・アンサンブル
第五章 七〇年代、八〇年代の西ベルリン演劇
第六章 フォルクスビューネとフランク・カストルフ
第七章 新しい世代
第八章 クリストフ・マルターラー
第九章 ドイツの劇場制度
補遺 『ハムレット・マシーン』の構成
 戦後ドイツ演劇年表
過去の出版情報 (2003-2005 現在データ収集中。戯曲作品は「作家・作品紹介」頁にも掲載)
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